映画『楽園』綾野剛の怪演と人間のもろさが痛々しく胸をえぐる作品

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『原作小説』

犯罪小説集 (角川文庫)

突然ですが、あなたは『楽園』と聞いてどんなイメージを持つでしょうか?この作品はあなたの持つ楽園という言葉のイメージを180度変えてしまうかもしれない問題作です。

今日は、綾野剛、佐藤浩市、杉咲花が出演する映画『楽園』をみたので自分なりの感想と考察をネタバレなしで書きたいと思います。

1. 映画『楽園』のあらすじ

夏のある日、2人の少女が一緒に下校し、ふさふさと高く生えた青田のY字路で別れました。そして、片方の少女がそのまま行方不明になってしまいます。この事件は、村の人々はもちろん一緒にいた親友の紡(杉咲花)の心に深い傷となって残ります。

12年後、同じ青田のY字路でまたもや少女が行方不明になり、あまり人付き合いが得意ではない孤独な豪士(綾野剛)が犯人のやり玉に。感情的になった村の人々と言い争いになり、事件はとんでもない不幸な事態へと向かいます。

養蜂業を営む働き者の善次郎(佐藤浩市)は、誰にでも親切で村の人々から頼られていたのですが、ちょっとした誤解で村八分にされてしまい心に深い闇を抱えるようになり…

という3つのストーリーが絡み合って結末へと進んでいく作品です。

この作品は3人それぞれの目線で時系列を前後しながらストーリーが進んでいくので、綾野剛、佐藤浩市、杉咲花それぞれが主役といっていいでしょう。

2.映画『楽園』の感想と考察

映画『楽園』のすごいところは、かなり胸くそ悪いシーンが続くものの「目をそむけてはいけない」と思わせる強い引力があるところです。

作品の柱となっているテーマは「弱者への偏見と差別」「ガラスのようにもろい人間の心と信頼関係」とスパッと言い切れないのが歯がゆいですが、それだけ複雑で深い作品です。

原作が実際にあった事件を元にしているため、女の子がいなくなった事件の夜に探し回るシーンはリアリティーがあり、なんともいえない気持ちにされられます。


また、『楽園』は社会の風潮として根強くある「誰かを悪者にしてみんなで叩いて安心する」という“現象”を弱者の目線から直球で描くことで、視聴者に痛みとしっかりと向き合わせることに成功しているまれな作品。

綾野剛はじめ、柄本明など登場する役者さんの演技はどれも素晴らしく観るものに「お前だったらどうする?」と迫ってきます。

暗いストーリーなので、万人受けはしないかもしれませんが深く心に刺さり、人生を見つめ直すキッカケとなりうる映画です。

個人的な評価は、ほぼ役者の演技とストーリーに全振りした映画ですね。爽快感や心を揺さぶるような感動はありません。心に刺さるのは確かですが、感動というよりあまりの理不尽さに胸が苦しくなり、深く考えさせられる作品です。

お色気的なシーンが一部ありますが、あまりに悲しいシーンでエロティックではない。全体として賛否両論があるタイプの映画。スッキリしない作品が嫌いというにはオススメできません。

※本作は限界集落(高齢化が進み働き手がいない/仲間意識が強くよそ者に厳しい)という閉ざされた社会の問題提起もしています。都会に住んでいる方には感覚的に分からない部分もあるかもしれません。(悪い噂がすぐ村中に広がる、村の有力者ともめただけで村八分など)

3.映画『楽園』のキャスト

映画『楽園』のキャストは以下の通りです。

原作:吉田修一
監督:瀬々敬久
脚本:瀬々敬久


中村豪士:綾野剛
湯川紡:杉咲花
田中善次郎:佐藤浩市

野上広呂:村上虹郎
藤木五郎:柄本明
黒塚久子:片岡礼子
中村洋子:黒沢あすか
田中紀子:根岸季衣

4.映画『楽園』が観られる配信サイト

映画『楽園』を観ることができる配信サイトを紹介します。

  配信形式 リンク
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Amazonプライム レンタル Amazonプライムビデオ
dtv レンタル dTV

※ 本ページの情報は2020年10月時点のものです。
最新の配信状況は各配信サイトにてご確認ください。

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